SLA(第二言語習得)理論に基づく英語学習のメカニズムを解説

この記事では、SLA(第二言語習得)理論に基づく英語学習のメカニズムを解説します。

目次

SLA(第二言語習得)理論とは

SLAは「Second Language Acquisition」の略で、日本語訳は「第二言語習得理論」です。

第二言語習得理論

:『第二言語を習得する際の脳内メカニズムを科学的に研究・解明し、効果的な学習方法を提示する理論または研究のこと』で、定義の通り第二言語を効率よく学習するための方法論のこと

ここで述べる第二言語習得理論における”第二言語”とは、幼少期、児童期以後に学んで習得する言語を指します。

つまり、日本で育った日本人のほとんどにとって、英語が第二言語に当てはまります。

第二言語習得理論の歴史は比較的浅く1960年代後半が起源とされていますが、特定の起源を定めることは難しいと言われています。

なぜなら、第二言語習得理論は言語分野のみならず、 心理学や教育学などの研究分野と密に関係しているから。

また注意したいのは、第二言語習得理論は未だ発展途上の学問であること。

それでも、この理論によって信頼できる定量成果がでていることから、第二言語習得理論を基に学習をすることが、英語力向上の近道の一つであることに間違いはないと私は考えています。

英語学習の全体像

第二言語習得理論にもとづく脳の仕組みを解説する前に、英語学習の全体像を理解していきましょう。

上の図をみてわかる通り、英語学習は大きく2つのフェーズにわかれています。

ひとつが基礎づくり、もう一つが運用能力の学習です。

英語学習の流れは、TOEIC/英会話/TOEFL/IELTSなど目的は関係なくすべておなじ

まずは英語の基礎づくりをして、その基礎力をつかって運用能力を高めていく。

そして、運用能力を高める過程で、基礎力もいっそう向上する。

これが英語学習の流れになります。

基礎づくり

基礎づくりとは、英単語と英文法のこと。

英語は3つの構成要素から成り立つ

このフェーズでは主に3つの学習を行います。

  • 単語(音データ)
  • 単語(意味データ)
  • 文法

なぜこの3つなのか。

理由は、英文は“Hello”や“Never mind” といった決まりきったフレーズや例文を除き、単語(音データ)・単語(意味データ)・文法の3つの構成要素で成り立つ形で存在しているからです。

英文の例
The only way to do great work is to love what you do.

日本語訳
:すばらしい仕事をするには、自分のやっていることを好きにならなくてはいけない。

この例文だとThe,only,way,to,do,great,work,is,to,love,what,you,do

という13個の単語から構成されています。

そしてこの英文の構成単位である単語は、「文法」と呼ばれるルールに従い並んでいます。

英文=単語 × 文法 (例文/フレーズは除く)


もし上の例文が

great to is do do to what the you way work love only.

この順番で並んでいたら、意味が分かりませんよね。


そして、英語はリスニングやスピーキングだと単語の音データによって英文が音に変換され、そのおかげで聞こえたり、話したりできるようになります。

L/S:単語(音データ&意味データ) × 文法データ

R/W:単語(意味データ) × 文法データ

このように、英語は単語(音データ)・単語(意味データ)・文法の3つの要素からできていると言えるわけです。

運用能力であるリスニング/リーディング/スピーキング/ライティングの学習をする前に、基礎づくりを徹底することがいかに重要か分かりました。

運用能力の学習

つづいて、英語の運用学習についてお話します。

運用能力の学習というのは、英語の基礎知識を実際に使えるようにするためのフェーズです。

運用能力の学習のフェーズには、以下の4つがあります。

  • リスニング
  • リーディング
  • スピーキング
  • ライティング

いわゆる英語4技能と呼ばれるもの。

運用能力の学習は英語の基礎を使えるようにすることが目的なので、そもそも英語の基礎づくりができていない状態では運用能力の学習効果が最大化することはありません。

まずは基礎を徹底的に学習する

単語も文法も知らないでとにかく読もうとしても読めるようにはなりませんし、単語の音データがない状態でいくら聞いても聞き取れるようにはならないということです。

基礎づくりから運用能力の学習の流れを常に意識して学習を進める必要があります。

英語を使用するときの脳内プロセス

学習の全体的な流れがわかったところで、つぎに単語および文法/リスニング/リーディング/スピーキング/ライティングそれぞれの、具体的な脳内プロセスを理解しましょう。

ムダのない効率的な学習をするには、まずは根拠に基づいた脳内のメカニズムを理解していくことが求められます。

単語および文法

先ほどお話ししたように、英語ができるようになるには基礎づくりを徹底して行うことが求められます。

英語の基礎を構成する単語データ(音/意味)および文法は、知識データベースと呼ばれます

たとえば、リスニングをしている時にまず「いまの何ていう単語かな?」と考える音声知覚プロセスでは、単語の音データが必要になります。

そして同じリスニングでも「聞こえてきた単語の意味ってなんだっけ?」と考える意味理解プロセスでは、単語の意味データが必要になります。

プロセスごとに、脳内でデータの種類を使い分けている

文法は、最小単位の単語がルールに従って並べられているときに、どのようなルールなのかを理解し単語の意味に肉付けをする役割を果たしています。

先ほどお話しした単語の音データと意味データに補足をすると、リスニングで「いまの何ていう単語かな?」と考える音声知覚プロセスで文法が意識されることはありません。

文法は、はじめのプロセスでは意識されない

文法の役割は、あくまで単語の意味に肉付けをすること。

なので、「聞こえてきた単語の意味ってなんだっけ?」と考える意味理解プロセスで初めて文法を使うのです。

これはリスニングに限らず、リーディングでも同じことが言えます。

それでは基礎づくりについて詳しくわかったところで、ここからは運用能力の学習(リスニング,リーディング,スピーキング,ライティング)についてお話しします。

なお冒頭でも述べましたが、SLA理論は内容が非常に多いため、4技能それぞれに対して

  • 理論編(脳内プロセスの具体的な説明)
  • 実践編(効果的な学習内容/方法)

で分けています。

状況に応じて読み進めてください。

リスニング

リスニングの脳内メカニズムは以下のように、音声知覚意味理解で構成されています。

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リーディング

リーディングの脳内メカニズムは以下のように、文字知覚意味理解で構成されています。

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スピーキング

スピーキングの脳内メカニズムは以下のように、概念化文章化音声化で構成されています。

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ライティング

ライティングの脳内メカニズムは以下のように、概念化・文章化・文字化で構成されています。

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