この記事では、第二言語習得理論にもとづく、ライティングプロセスの説明と効果的なライティング学習法法について詳しく解説しています。
英語学習をしていてよく見かけるのが、学習の目的を理解せずただやみくもに『良い』と噂される学習をする人。
だいたいすぐにモチベーションが下がって、違う学習方法を試したり英語学習をやめてしまっています。
英語学習は毎日の継続が大事。そのためには、理論をしっかりと理解しよう
英語学習の全体像から知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。
ライティングには3つのステップがある
第二言語習得理論によると、ライティングは大きく3つのステップから成り立っています。
概念化/文章化/文字化です。
知識データベースとは、基礎学習の部分(単語や文法)を指します。
ライティングの大きな流れは、
- 概念化プロセスで書きたいことを日本語で考える
- 文章化プロセスで知識データベースに問い合わせをして、日本語に該当する英単語と英文法を組み合わせて文章を作る
- 文字化プロセスでふたたび知識データベースの単語データに問い合わせをして、作った文章を書き起こす
となっています。
1.概念化プロセス
概念化とは『書きたいことを日本語で考える』こと。
このプロセスは知識データベースへの問い合わせはなく、独立したプロセスです。
どういうことかというと、『書きたいことを日本語で考える』=『日本語で完結するプロセス』なので英単語や英文法の知識はいらないということ。
ひとつあなたに質問をします。
What are you into lately?
(訳:最近ハマっていることはなんですか?)
今なにを思い浮かべましたか?
映画鑑賞?キャンプ?読書?
なんにせよ、ノンネイティブで英語を学習中の方は、まずはじめに書きたい内容を日本語で考えたかと思います。
つまり、概念化プロセスは英単語や英文法の知識とは関わりのない独立したプロセスであると言えます。
2.文章化プロセス
文章化とは『考えた日本語に該当する英単語と英文法を組み合わせて、文章を作る』こと。
文章化プロセスでは、知識データベースの単語データ(意味)/文法データ/例文データに問い合わせをします。
単語データや文法データを正確に速く引っ張ってこれると、それだけ流暢に書き起こせるということです。
3.文字化プロセス
文字化とは『作った文章の中にある単語を文字に書き起こす』こと。
文字化プロセスでは、単語データに問い合わせをします。
単語のスペルを知っていれば書けるし、知らなかったら書けません。
ライティングができる状態とは
ここまでの説明をふまえて『ライティングができる』状態を定義すると、3つのプロセス全てをスムーズにおこなえる状態だといえます。
そのためにはまず、単語や文法の知識をしっかりとインプットできていることは必須。
- 英単語の記事はこちら
:『記憶のメカニズムと英単語学習の基本ルール4つ』 - 英文法の記事はこちら
:『記憶のメカニズムと英文法学習の基本ルール4つ
さらにいうと、概念化/文章化/文字化それぞれのプロセスを一気に鍛えるのではなく、優先度が高いものからやるのが効果的です。
優先度は文章化>概念化>文字化の順番で学習しよう!
文字化は最後で良い理由
なぜ文字化プロセスの学習は後回しなのか。
その理由は、スペルチェック機能があるから。
上の画像はGmailですが、「writing」のスペルミスを赤線で示してくれています。
このように多少の間違いであればスペルチェックしてくれるので、わざわざ文字化プロセスを鍛えるために単語のスペルを厳密に覚えようとする必要はありません。
概念化と文章化の壁を知る
なので、まず鍛えるべきは概念化と文章化。
ここでは、概念化プロセスと文章化プロセスそれぞれにおける学習者のつまずきポイントを解説します。
概念化プロセスの壁
スピーキングの3ステップの中で、概念化プロセスは知識データベースとの関わりがない独立したプロセスだと話しました。
概念化とは『書きたいことを日本語で考える』ことを指し、このプロセスでは大きくわけて2つの壁があります。
- 日本語と英語の知識量の違い
- 日本語と英語の構造の違い
「日本語と英語の知識量の違い」は文字通り、英単語や英文法よりも日本語の単語/文法のほうが知識量も多く、使える知識も多いということ。
この知識量の違いを理解せずに概念化プロセスをおこなうとどうなるか。
難しい日本語ばかりが頭の中にならび、文章化プロセスでつまずいてしまいます。
また、「日本語と英語の構造の違い」とは、書き方を指します。
どういうことかというと、日本語は起承転結なのに対し英語は結論ファーストで書かれる傾向が強いということ。
構造の違いをおさえていないと、文章化プロセスで適切な英単語や英文法を使うことができません。
文章化プロセスの壁
ライティングの3ステップの中で、文章化プロセスは知識データベースの単語データ(意味)と英文法データに問い合わせをするプロセスだと話しました。
文章化とは『考えた日本語に該当する英単語と英文法を組み合わせて、文章を作る』ことを指し、このプロセスでは大きくわけて2つの壁があります。
- 文章をつくるスピードが遅い
- つくった文章が正確ではない
「文章をつくるスピードが遅い」とは、知識データベースに問い合わせて英単語や英文法を組みあわせる時間が遅いということ。
イメージとしては、
(何をする予定なの?と書きたくて…)「What」でしょ。あとは「are you」か。予定だから「going to do」で…
こんな感じ。
日本語→英語にするスピードが遅いと、当然ながらメールなどを書く時間がかかります。
また、もうひとつの壁「つくった文章が正確ではない」、これも文字通りです。
(何をする予定なの?と書きたくて…)「What」でしょ。あとは「is you」か。予定だから「going to do」で…
「you」が主語のとき、be動詞は「are」ですよね。
英単語や英文法が適切ではないと、読み手に誤解を生じさせることもあります。
各プロセスを鍛える効果的な学習
ライティングができるようになるには、各プロセス(とくに概念化と文章化)をまんべんなく鍛えることが効果的だとわかりました。
ここからは、概念化プロセス/文章化プロセス/文字化プロセスそれぞれにおいて、どのような学習をすればスピーキング力が効果的に伸びるのか解説していきます。
概念化を鍛える学習
概念化を鍛える学習は3つ。
写真描写/1分間スピーチ/英会話です。
ライティングなのにスピーキングの練習なの?と思うかもしれません。
簡単に解説をすると、スピーキングとライティングは『概念化/文章化』までは同じプロセスをたどります。
スピーキングとライティング、プロセスが違うのは最後の『音声化』『文字化』だけ!
プロセスが同じであれば、書く行為よりも話す行為のほうが人は素早くおこなえますよね。
学習時間を少しでも減らして効率性を高めるために、あえて写真描写/1分間スピーチ/英会話をおこないます。
文章化を鍛える学習
概念化を鍛える学習は1つ。
瞬間英作文です。
文章化の学習も、概念化とおなじ理由でスピーキングと同じ学習をライティングでもおこなうことをおすすめします。
文字化を鍛える学習
文字化を鍛える学習はありません。
これは単語学習のなかで正しいスペルを身につけたり、あえて文字化プロセスは無視してチェックツールに頼ってしまうのもありです。