TOEICパート3,4の先読みって必要なの?
結論、レベルによる!中級者までは先読みせず、正攻法で問題を解こう!
『TOEICでハイスコアをとるにはパート3,4の先読みが不可欠だ!』という情報を目にしたことがあるのではないでしょうか。
大きな間違いです。
先読みできるだけの英語力がないと、問題に集中できませんよね。
英語レベルによっては、先読みをすることでスコアが伸びないどころか下がってしまうことだってあり得るのです。
この記事でわかること
- そもそも先読み行為は不正なのか
- 先読みしたほうが良い英語レベルの基準
- 具体的なやり方・コツ
この記事では、どれくらいの英語レベルをもっていれば先読みは有効なのかを解説し、そのあと具体的な先読みのやり方を詳しく解説していきます。
パート3,4の先読みはすべきか
まず先読みをすべきかどうかについて、以下の4つのポイントで話を進めていきます。
- そもそも先読み行為はあり?
- 先読みをした方が点数は上がる?
- 先読みのメリット
- 先読みの注意点
順番に詳しくみていきましょう。
そもそも先読み行為はあり?
TOEIC公式サイトに以下のような記載がありました。
注意事項
⑹決められた時間を超えて解答する行為
TOEIC公式サイトより引用
・試験開始前または試験終了後に問題内容を見る、または解答する行為
・リスニングテスト中にリーディングセクションの問題内容を見る行為、またはリーディングテスト中にリスニングセクションの問題内容を見る行為
これによると、リスニング/リーディング間の横断行為は禁止されていますが、リスニングテスト中に実施されているパート以外のページを見ることについては触れていません。
つまり、パート3,4の先読みをしても問題ないということです。
先読みをした方が点数は上がる?
結論を言うと、先読みをしたほうがスコアが上がるかは、あなたの英語レベルによります。
先読みのタイミングについては後述しますが、テスト中に限られた時間のなかで設問や選択肢、図表をさきに読んで貯金しておくのが先読み。
つまり、設問や選択肢を読むスピードが速くないと先読みは成り立ちません。
先読みにはリーディング力が必要
もっと言うと、いくらリーディング力が高くて先読みができても、リスニング力がないと音声をうまく聞けないので意味がありません。
先読みは解答の手間を極力なくすテクニックなので、そもそもTOEICスコアがそこまで高くない(英語力がそもそも高くない)人にはおすすめできないのです。
具体的には、リスニングスコア375点未満かつリーディングスコア420点未満の人は、まずは以下の学習からはじめましょう。
リスニングスコア375点未満かつリーディングスコア420点未満の場合
参考:『パート3を完全対策|問題の傾向からおすすめの学習方法をレベル別に解説』
:『パート4を完全対策|問題の傾向からおすすめの学習方法をレベル別に解説』
リスニングスコア375点以上かつリーディングスコア420点以上の人は、このまま読み進めてください。
先読みのメリット
先読みをすることで得られる効果はかなり大きいです。
- 会話・トークの内容をあらかじめ予測できる
- 注意すべきキーワードが分かる
- 設問の流れによっては答えが分かるときもある
TOEIC公式サイトの「パート3サンプル問題」で詳しく解説していきます。
ちなみに、先読みがいかに効果的かをお見せするため、私はここからの解説を書くまえに、音声は一切聞いていません。
設問だけを読んで、シーンを想像し解答していきました。
会話・トークの内容をあらかじめ予測できる
ではさっそく始めていきます。
No.32 Why is the woman calling?→女性が電話するシーンだな
TOEIC公式サイトより引用
No.33 What does the man ask the woman about?→男性が女性に何か聞くのかNo.34 What does the man offer to do?→男性が何かを提示するのか
設問を見るだけでも、会話の全体像がなんとなく掴めますよね。
パート3,4の暗唱トレーニングを行っていれば、お客さんである女性が電話をかけてお店の人である男性が対応しているシーンだと細かいところまで推測ができるようになります。
選択肢を見れば注目すべきキーワードが分かる
設問それぞれの選択肢を見ると、さらにヒントがあります。
TOEIC公式サイトより引用No.32 Why is the woman calling?
(A) To cancel an order
(B) To complain about a product
(C) To redeem a gift card
(D) To renew a warrantyNo.33 What does the man ask the woman about?
(A) A model name
(B) A brand of coffee
(C) A catalog number
(D) A date of purchaseNo.34 What does the man offer to do?
(A) Provide a discount
(B) Send a free sample
(C) Extend a warranty
(D) Issue a refund
たとえばNo.32の選択肢には『cancel』『complain』『product』『warranty』が並んでいることから、女性が買った商品などに対しての電話だと分かりますよね。
No.33の選択肢には『name』『number』『purchase』とあるので、商品の名前もしくは番号について男性が女性に聞いているのかなと予想できるわけです。
そして最後のNo.34だと『discount』『free sample』『refund』が並んでいるので、女性が購入した商品に対して電話でクレームをし、男性店員がお詫びとして何かを提示するのかなと会話の流れを予測できます。
あくまで予測ですが、これができるようになるだけで問題への取り組み方がだいぶ変わってきます。
情報が0の状態で音声を聞くよりも、予測をたててから聞いたほうが心理的にかなり楽です。
設問の流れによっては答えが分かる(予想できる)ときもある
これはけっこう禁断のテクニックですが、予測するだけでなく設問と選択肢をみてストーリーを勝手に作り『答えはこれだろう』とヤマをはることも可能です笑
先ほどの例題でやってみましょう。
設問と選択肢をひと通りざっと見て私が予測したのは『女性が購入した商品に対して電話でクレームをし、男性店員がお詫びとして何かを提示する』でした。
これをもとに解答していくと。。
TOEIC公式サイトより引用No.32 Why is the woman calling?
(A) To cancel an order
(B) To complain about a product
(C) To redeem a gift card
(D) To renew a warrantyNo.33 What does the man ask the woman about?
(A) A model name
(B) A brand of coffee
(C) A catalog number
(D) A date of purchase
No.34 What does the man offer to do?
(A) Provide a discount
(B) Send a free sample
(C) Extend a warranty
(D) Issue a refund
音声を聞かずに解いてみた私の回答は、No.32がB・No.33がD・No.34がA,Dのどちらかです。最後の問題は正直音声を聞いてみないとわかりません!笑
音声がこちら↓
正解は、No.32がB・No.33がD・No.34がAでした!音声を聞いていないにも関わらず、ここまで予測できるんです。
設問と選択肢にこれだけの情報が詰まっているので、先読みしない手はありませんよね。
先読みの注意点
ただ、リスニングスコアの目安としては375点以上取れるようになってから先読みを意識していきましょう。
実力が伴っていない状態で先読みをすると、結果としてグダグダになりスコアが下がってしまいます。
あくまでテクニックの一つとして認識をし、まずは実力をつけるためのトレーニングをコツコツと行うのが最終的にはスコアアップにつながります。
先読みの具体的なやり方・コツ
それでは、先読みの具体的なやり方を詳しくお伝えします。
先読みのタイミングを頭に入れておく
まずは、どのタイミングで先読みをするのかを覚えておきましょう。
先読みのタイミングは大きく分けて4回あります。
- 「LISTENING TEST」と「Part1」のDirections:1分30秒
- 「Part2」のDirections:30秒
- 「Part3」のDirections:30秒
- 「Part4」のDirections:30秒
「LISTENING TEST」のDirectionsは『In the listening test, you will be asked to demonstrate…』で始まる最初のイントロです。
①と②でPart3,4の図表問題を先読みし、③と④でPart3とPart4それぞれ一番最初の設問から先読みをしていきます。
①と②のDirectionsでPart3,4の図表問題を先読み
図表問題はPart3,4合わせて5問が出されます。こんな感じの図表問題↓
パッと見『何についての図表だ?』ってなりますよね。
イメージが湧きにくい。
固有名詞や数字が並ぶと情報量は一気に多く感じてしまうもの。
後述するPart3,4の先読みは設問ごとに対応したやり方ですが、図表問題で同じようにやると失敗します。
情報量が多すぎて、設問と選択肢をちゃんと先読みできなくなる。そうすると焦るのでリスニングが集中できず、問題を落としてしまうという悪循環になってしまいます。
だから最初に先読みしようねということです。
図表問題の設問3つのうち、上2つは図表と関係ない場合が多いです。
したがって、先読みする時のポイントは
- 何についての図表か
- 図表の設問(Look at the graphic…の設問)で何が問われているか
- その設問の選択肢にどのような情報があるのか
- 選択肢の語句は図表のどこにあるのか
を確認したあと、上2つの図表とあまり関係のない問題に目を通してそれらも先読みをしましょう。
ただし1つの図表問題につき20秒弱しか先読みの時間がないので、余裕があればです!
Part3,4のDirectionsでそれぞれ最初の問題から先読み
Part3,4のDirectionsに入ったら、それぞれ最初の設問から先読みをしていきます。具体的な流れはこんな感じ↓
中上級者とは、リスニングのアビメ平均が75以上を指します。
先読みをリズム良くできることが求められますが、公式テスト当日にいきなりやっても絶対にミスします。
公式問題集などで先読みの練習を何度も反復して行いましょう。
先読みのタイミングが分かったところで、次に実際のやり方とコツについてお伝えします。
設問と選択肢を読んで内容をイメージする
『先読みのメリット』で紹介した例題とは別の例題で見ていきましょう。
TOEIC公式サイトより引用No.35 Where do the speakers work?
(A) At a hotel
(B) At a department store
(C) At a restaurant
(D) At a call centerNo.36 What does the man ask about?
(A) How many people have applied for a promotion
(B) If a manager is in the lobby
(C) Whether a position is available
(D) When new shifts will be assignedNo.37 What does the woman say the man should be prepared to do?
(A) Handle customer complaints
(B) Work within a budget
(C) Get to know local clients
(D) Work evening hours
設問を見ると、
『No.35 Where do the speakers work?』
『No.36 What does the man ask about?』
『No.37 What does the woman say the man should be prepared to do?』
とあります。
これらから予測できることは2つ。
- 仕事をしている男性と女性の会話
- 男性が女性について何かを尋ねて、女性が答えるとともに男性に何かをアドバイスした
設問それぞれの選択肢を見るとイメージがより湧きます。
No.35だけだといまいちですが、N.36の選択肢には『promotion』『manager』『position』『shifts』とあり、一貫しているのは「従業員について」。
どうでしょうか。
男性と女性が会社の従業員について話すのかなと推測できる
さらにNo.37の選択肢を見ると『customer』『Work…budget』『clients』『Work evening hours』とあることから、顧客もしくは働く時間について、女性が男性にアドバイスをすることが分かります。
このように先読みをして内容のイメージを膨らませていきましょう。
設問・選択肢は日本語に訳して理解しても良い
ガッツリ日本語に訳してしまって問題ありません。
よく『英語は英語のままで理解することがベスト』と主張する方がいますが、科学的根拠はないです。
なので、設問や選択肢は日本語に訳して理解しても良いです。
英語を英語のまま理解するいわゆる英語脳というのは、どれだけその語句や文章に触れているかなので、TOEICテストを受け続けているうちに英語のまま理解できる文章が必然的に増えます。
設問でよくある『Who most likely is the man?』は、TOEICを何度も受けている人だったら日本語に訳さなくても理解できますよね。
そういうことです。
英語に触れている量が多くなればなるほど英語を英語のまま理解できる幅が増えていくので、最初は日本語に訳しても全然問題ありません。
「設問のみ」先読みでもOK
もし選択肢の先読みまでは余裕がない場合は、設問のみ先読みでもOKです。
上述しているように、慣れてくれば設問の先読みだけでも会話やトークのイメージはかなりできます。
『先読みしなきゃ』という意識が強すぎて目の前の問題に集中できないようであれば、まだ先読みする段階ではないのでやるにしても設問だけに留めておきましょう。
その場合は、以下のトレーニングも合わせて行うことをおすすめします。
Part3,4の会話・トークを暗唱
暗唱をする理由はシンプルで、Part3,4のパターンを覚えることで内容把握の精度が高くなるから。
ただし初めから覚えようとしてやるとあまりの量に挫折してしまうので、正しいプロセスを踏んだら結果的に覚えていたという流れをおすすめします。
プロセス通りに学習しよう
具体的にはシャドーイング→リピーティング→レシテーション(暗唱)の順番です。
それぞれ以下の記事に具体的なやり方が書いてあるので参考にしてください。
速読トレーニングをする
速読トレーニングとは、文字通り早く読むためのトレーニングのこと。
Part3,4の設問および選択肢を速読できるようになることが目的ですが、使うのはPart7専用の教材です。
詳しくは速読の記事からご覧ください。