多読って、とにかく洋書をいっぱい読むんだよね?
それだと全く伸びない!ただ読めば良いというわけではないよ!
『英語力をあげるには多読をすれば良い』という本や動画をみかけたりしますが、それは半分正解だけど半分間違っています。
なぜなら、英語のレベルによっては多読をしないほうが良いから。
そこでこの記事では、以下のことについて詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 多読をすべきかどうかの判断基準
- 多読の効果と注意点
- 具体的かつ実践的な学習方法
- おすすめの参考書
ちなみに、多読はリーディング力をあげる学習だと思われがちですが、正しいやり方で学習すればリスニング力もあげることができます。
多読とは
多読とは
:多読は「多く読む」と書くように、カテゴリ問わずより多くの文章を速く正確に読むトレーニング。
主に洋書でトレーニングすることが多く、ピアソン・イングリッシュ・リーダーズ(旧ペンギンリーダーズ)やラダーシリーズを使用することが一般的。
多読をやる前に精読学習で正確に読める状態をつくることで、より効果の高い学習が可能になります。
参考:『精読の効果と具体的なやり方・おすすめの教材もレベル別に紹介|リーディングの意味理解プロセスを鍛える』
じゃあ、私は何からやれば良いんだろ…
基礎を適切にアウトプットできるかどうかでやるべき学習が変わるので、多読をすべきか見てみよう!
多読をすべきかどうかの判断基準
自分が多読をすべきかどうかのたったひとつの判断基準、それは『基礎を適切にアウトプットできるかどうか』です。
ここでいう基礎とは、中学英単語と英文法のこと。
ちゃんとアウトプットできるレベルとは、具体的にいうと
単語
:中学英単語で
:英→日が1単語0.5秒以内にできる
文法
:中学英文法の各文法項目を
:例文も使って詳しく説明できる
この基準を満たしていなければ、多読をしてもムダ。
単語と文法、そして精読をまずは徹底して学習しましょう。
参考:『英単語の正しい覚え方|エビングハウスの忘却曲線に基づいた効率的な学習』
参考:『英文法の正しい覚え方|エビングハウスの忘却曲線に基づいた効率的な学習』
リーディングのプロセスは文字知覚と意味理解がある
そもそもの話なんだけど、なんで精読とか多読をするのが良いんだっけ…?
リーディングには大きく【文字知覚】と【意味理解】の2つのプロセスがあります。
このうち【文字知覚】はそもそも単語を見たことがあり知っているかというレベルの話なので、知らない=単語力が足りないということ。
つまり、リーディング力をあげる=意味理解力をあげるということになります。
また、意味理解力は【正確さ】と【速さ】から成り立っており
多読は意味理解力のうち【正確に速く読める】ようにするための、リーディング学習の終点といえます。
意味理解力を鍛えることがリーディング力に直結し、そのための学習が精読や多読ということだね!
精読・速読との違い|学習の目的とやり方が異なる
精読・速読・多読は同じリーディングのトレーニングですが、目的と学習方法が全く異なります。
学習 | 目的 | 学習方法 |
---|---|---|
精読 | 英文構造を理解し 正確に読む | SVOCの記入 スラッシュリーディング 返り読みしない |
速読 | (精読ができる上で) 英文を速く読む | WPMの計測 返り読みしない |
多読 | (精読ができる上で) 総合力をあげる | WPMの計測 返り読みしない |
たまに『精読はやらずに多読から始めた。とにかくいっぱい読むことが大事でしょ?』という方がいらっしゃいますが、この考え方はよくありません。
なぜなら、精読力がついていない状態で多読学習をしても、身につくのは文章を読んで目にはいった単語をもとに推測するテクニックだけ。
その推測すら見当違いの可能性があります。
速く正確に読めるようになりたい方こそ、精読学習で正確さを身につけてから速読、そして多読へとシフトしましょう。
精読の記事はこちら↓
速読の記事はこちら↓
多読の効果と注意点
ここからは、多読の効果と注意点について解説していきます。
- 英語の処理能力が上がる
- 英語の処理スピードが上がる
- リスニング力も向上する
詳しくみていきましょう。
英語の処理能力が上がる
多読をすることで意味理解の処理能力が上がります。
処理能力とは、正確に情報を処理できる力のこと。
リーディングをしていると
一文ごとに内容はわかるけど概要が掴めない。読んでいると、はじめの内容を忘れちゃう…
と思うことはあるのではないでしょうか。
この状態を図で表すと、以下の左のようになります。
意味理解プロセスに集中しすぎて読んだ内容を短期記憶に留めておけない状態、つまり理解した内容をどんどん忘れてしまうというわけです。
ではどうすれば良いか。
右の図のように意味理解プロセスを無意識に行えるようにすれば、短期記憶に使える頭のキャパシティが多くなり、一時的に保持できる内容量が増えます。
多読を継続することで、理想である意味理解プロセスをできるだけ無意識にストレスなく行える状態に近づいていきます。
英語の処理スピードが上がる
ただし注意が必要です。
多読トレーニングで処理スピード向上の効果を実感するには、WPMを意識して読むことが重要になります。
WPM
:Words Per Minuteの略で、1分間に読める単語数のこと。1分間あたりにどれだけの単語が読めているかを知るために、「単語数」÷「読んだ時間(秒)」で割り出す数値。「ビジネスシーンでストレスなく読める・TOEICリーディングパートが時間内に解き終わる」WPMは150以上と言われている
自分のWPMがどれくらいかを知りたい場合は、後ほど【レベル別のおすすめ参考書】で詳しく述べますが、ラダーシリーズやピアソン・イングリッシュ・リーダーズなど一冊の語数が書いてあるものを選ぶことがポイントです。
リスニング力も向上する
じつは、リーディングの「意味理解」のプロセスはリスニングの「意味理解」プロセスと同じ。
認識した単語の意味や文法を、頭の中の知識から取り出して内容を理解します。
これは第二言語習得論で証明されていることです。
つまり、多読トレーニングで意味理解力の総合的な強化をすることで、リスニング力も必然的に向上していくというわけです。
では多読の効果を最大限引き出すためにはどのようなことに意識すべきでしょうか。
ポイントは2つあります。
- 適切な参考書を選ぶ
- 正しい学習方法で行う
レベル別のおすすめ教材
教材の選び方は効果的な学習を左右すると言っても過言ではありません。
多読の良書はラダーシリーズとピアソン・イングリッシュ・リーダーズです。
特にラダーシリーズはレベルごとに分かれているだけなく、バリエーションも豊富で、かつ一冊が分厚くないので持ち運びが便利で読みやすいというメリット尽くしの教材です。公式サイトでレベルを詳細に分けてくれています。
ラダーシリーズのレベル1がTOEIC300〜400点程度のレベルと書かれています。TOEIC300点は中学単語・英文法終了レベルなので、単語や文法に全く自信がない方はまず中学単語・英文法の学習から始めましょう。
レベル1:アインシュタイン・ストーリー
レベル2:ロビンソン・クルーソー
レベル3:ガイコク人ニッポン体験記
レベル4:スティーブ・ジョブズ・ストーリー
レベル5:ビル・ゲイツ・ストーリー
多読の正しいやり方と注意点
教材が手元に用意できたら、正しい方法で多読トレーニングを行っていきましょう。
多読はやり方を間違えてしまうと学習の効果が低くなってしまいがちなトレーニングなので、注意しましょう。
多読の絶対ルール3つ
- 返り読みをしない
- 辞書は使わずわからない単語は推測する
- 読んでいる時間を測る
返り読みをしない
返り読みとは、一度読んだ単語や文章をもう一度戻って読まないということです。
英語を英語の語順のまま理解をしないと意味理解力は向上しません。
『内容がなかなか入ってこない場合は戻って読んでも良いのではないか?』という質問がありそうですが、ダメです。
内容が入ってこない場合は、集中力がなくて読んだ内容をすぐに忘れてしまっているか、もしくは単語や文法が少し難しい場合のどちらかです。
返り読みをするための理由づけをするのではなく、正しく読むための準備が整っているかどうかの前提を確認しましょう。
辞書は使わずわからない単語は推測する
多読は意味理解力の強化が目的であり、語彙力を増やすことではありません。
従って、わからない単語が文中に出てきても調べることはやめましょう。
しかし、調べないでただ飛ばすだけというのも良くありません。
日本語で考えてみてください。我々が日本語の本を読むとき、わからない単語が出てきたら意味を推測することってありますよね?
前後の文脈からしてこういう意味だろうという推測をして、理解しながら読み進めていくわけです。
多読でも、わからない単語が出てきたら前後の文脈から意味を推測しましょう。
読んでいる時間を測る
自分のWPMを知るためです。
理想的なWPMは150以上と既に説明しましたが、実際に自分のWPMを知るために読んだ時間を測りましょう。
例えば、10000語の本を1日20分間読み進めて4日目で読み終わったとします。
10000語の本を80分で読んだので、10000語÷80分=125WPMです。
このように現状のWPMを知ることで、理想のWPMにどれくらい近づいているのかを確認できモチベーションの維持にも繋がります。
まとめ
多読の概要からおすすめ参考書、実際のやり方について解説しました。
多読はリーディング力のみならずリスニング力の向上にも期待ができる非常におすすめのトレーニングです。
多読を毎日継続して行い、英語力を向上していきましょう。