シャドーイングってすごく難しいよね。いつも途中で心が折れる…
正しいやり方で学習すればそこまで難しくないし、学習効果もすごく高い!英語コーチが具体的なやり方やおすすめの教材を教えます!
『シャドーイングがリスニングに効果的なことは知ってるけど、やり方がいまいち分からないし難しい。』
このような悩みを解決します。
この記事でわかること
- シャドーイングがリスニングに効果的な理由
- 超実践的なシャドーイングの具体的やり方
- レベル別のシャドーイングおすすめ教材
とくにシャドーイングのやり方については、この記事の通りにおこなえばリスニング力が伸びるように余すところなく超具体的に書いています。
もしあなたが今、リスニング力が上がらず伸び悩んでいたり本気でリスニング力を伸ばしたいと思っているなら、【シャドテン】も候補のひとつにいれてみましょう。
【シャドテン】はビジネス英語のプロがあなたのシャドーイング音声を丁寧に添削してくれる、リスニング力向上に特化したサービスです。
シャドーイングとは
シャドーイングとは、【英語音声から2,3語遅れながら真似して発音する学習】です。
じつはシャドーイングには2種類あります。
シャドーイングの種類
- プロソディシャドーイング
- コンテンツシャドーイング
英語レベルによってどちらのシャドーイングやるべきか決まっているので注意しましょう。
詳細はこの記事の【シャドーイングの具体的なやり方】で後述します。
また、シャドーイングの英語音声は30秒〜60秒のものを使いましょう。
学習者の英語レベルによりますが、原則として音声は途中で止めずにどんどん真似て発音していきます。
シャドーイングの効果
一言でいうと、シャドーイングはリスニング力にかなり効果的。
しかし『なぜ効果的か』を知らないと、シャドーイングをやっているけど思ったようにリスニング力が伸びてないと悲観しモチベーションに影響します。
そこでまずは、リスニングの仕組みを簡単に解説しなぜシャドーイングをすべきなのかを説明します。
そのあと、シャドーイングの効果について言及します。
リスニングは「音声知覚」「意味理解」2つのプロセスがある
リスニングをしているとき、頭の中ではふたつのプロセスを踏んでいます。
それが「音声知覚」と「意味理解」。
- 音声知覚:聞こえてきた音が何ていう単語か認識する
- 意味理解:認識した単語の意味と文法を踏まえて内容を理解する
例えば「Can I get some water?」という文章を当てはめると以下のようになります。
- 音声知覚:「キャナィゲッサムウォーラ?」と聞こえてきて「Can I get some water?」と認識する
- 意味理解:「Can I 〜 ?=〜できますか?」「get=得る」「water=水」→「水をもらえますか?」と内容を理解する
ただし、TOEICテストや実際の会話ではもう少し長い文章をリスニングして、少しのあいだ覚えておく必要がありますよね。
TOEICなら問題を解いているあいだ。会話なら自分の意見を考えているときなど。
つまり、音声知覚と意味理解に加えて【短期記憶】が必要になります。
しかし日本人の多くは、リスニングをしているときに音声知覚と意味理解に頭を使いすぎてしまっており、短期記憶まで頭を使えていません。
下の図だと左の状態。
それゆえに、『なんか所々だけど単語とか文章は聞こえてくる気がする。だけどどういう内容って言われると答えられない/推測が入っちゃう』ということが起こります。
理想は、右の図のように「音声知覚」と「意味理解」どちらもできるだけ無意識に近い状態でおこなえるようにすること。
シャドーイングで音声知覚と意味理解どちらも伸ばす
その理想の状態に近づける学習がシャドーイング。
音声のすぐあとに真似て発音することで、単語自体の発音や連結/消失などの「音の変化」、さらには抑揚やリズムが身についていきます。
シャドーイングの効果
- 語彙が増える
- 単語の正しい発音・アクセントが分かる
- 英語の抑揚・リズムが身につく
- 英語の「音の変化(連結/消失など)」が身につく
- ネイティブが話すスピードに慣れる
- 短期記憶に頭を使えるようになる
特にいちばん下の「短期記憶に頭を使えるようになる」が重要。
たとえばTOEICテストなら聞きながら解答をマークする余裕が生まれたり、英語での会話なら聞きながら自分の意見をまとめる余裕がでてきます。
シャドーイングはリスニング力を伸ばす王道にして最強の学習と言えます。
初級者には効果が低い→まずは基礎力(単語/文法)をつける
しかしこのシャドーイング、初級者には不向き。
なぜかというと、「聞いて追いかけながら真似て発音する」のはかなり負荷がかかるから。
単語や文法の基礎知識がない状態で行うと『あれ、今の単語なんだっけ?文法も忘れた。。』という状態が続くので結果として学習の効果がなくなります。
シャドーイングの効果が期待できるのは、中学英単語/中学英文法を理解している方。
そうでなければ、まずは単語と文法学習をして、そのあと精読とオーバーラッピングの流れが理想の学習です。
シャドーイングの具体的なやり方
ここから、シャドーイングの具体的な学習方法を紹介していきます。
STEPはぜんぶで8つです。
- STEP 0:「i-1」の教材を選ぶ
- STEP 1:30秒-60秒の音声を最大3回聞く
- STEP 2:スクリプトを読み分からない単語や文法を調べる
- STEP 3:「返り読みせず意味が理解できる状態」まで読み込む
- STEP 4:オーバーラッピングをする
- STEP 5:シャドーイングをする(音のみに集中)
- STEP 6:自分の音声を録音し、自己フィードバックする
- STEP 7:改善箇所を中心にシャドーイングする(意味も考える)
- STEP 8:STEP5-7を全ての文章が完璧にできるまで繰り返す
STEP1ー6までを1日目で行い、2日目以降はSTEP7ー8を行いましょう。
つまり学習イメージはこんな感じ↓
- 1日目:STEP1ー6
- 2日目:STEP7ー8
- 3日目:STEP7ー8
- 4日目:STEP7ー8(改善箇所なし=この音声はクリア)
- 5日目:別の音声でSTEP1ー6…以下ループ
1日の学習時間目安は60分とれると理想的です。
STEP0.「i-1」の教材を選ぶ
シャドーイング学習において最も大切なのが教材選び。
興味があるものならなんでも良いというわけではありません。
結論として、自分のリスニングレベルよりも易しいものを選ぶのが最適と言われています。
……かなりやさしめの素材、すなわち自分の学力をiとしてそれよりも低い「i-1」「i-2」くらいの素材を選ぶことがポイントです。その際、主として、
『外国語を離せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』より引用
①テキストの英文の理解のしやすさ
②モデル音声のスピード
という2つの要素があります。……素材選びでは、決して背伸びをしないこと、これが重要です。
詳しくは後ほど【シャドーイングにおすすめの教材】で言及します。
STEP1.30秒-60秒の音声を最大3回聞く
全部分かるまで聞く必要はありません。
というよりも、全部分かる=音声レベルが易しすぎるので音声素材を変えたほうが良いです。
3回きいて内容が完全に理解できたら、音声レベルが易しすぎるので少し難しめの別の音声を用意する
30ー60秒の音声を最大3回まで聞いて、概要を掴みましょう。
STEP2.スクリプトを読み分からない単語や文法を調べる
次に英文スクリプトを読んでください。
すると、分からない単語や文法があると思うので調べて意味を理解します。
この時、教材についている日本語訳はできるだけ見ないで、自分で意味を調べましょう。
STEP3.「返り読みせず意味が理解できる状態」まで読み込む
単語や文法を調べ終わったら、返り読みをせずに意味が理解できる状態まで読み込みましょう。
返り読みとは【文章の意味を理解しようとして一度読んだ箇所に戻って再び読み進めること】を指します。
左から右へ、一度も戻ることなく意味を理解しながら読めるようになったら、このSTEPはクリアです。
STEP4.オーバーラッピングをする
シャドーイングの準備運動としてオーバーラッピングを行います。
参考:オーバーラッピングの効果とは?注意点もふまえた正しいやり方とおすすめの教材まで|英語コーチが徹底解説
オーバーラッピングも全文がスムーズにできるようになったら次に進みましょう。
STEP5.シャドーイングをする(音のみに集中)
いよいよシャドーイング。
【英語音声から2−3語遅れながら真似して発音する学習】を忘れずに、以下の点に注意しましょう。
- 記憶からたどって発音しない
- まずは音のみに集中する
おそらくオーバーラッピングまでのSTEPで『文章けっこう覚えちゃったなあ』と思うかもしれません。
しかしシャドーイングは『聞こえてきた音を再現する』ことが目的で、暗唱し記憶からたどって発音することが目的ではありません。
これを間違えてしまうとシャドーイングの意味が全くなくなってしまうので、あくまで聞こえてきた音声通りに発音しましょう。
また、最初は意味を考えずに音だけに集中するプロソディシャドーイングがおすすめ。
おそらく『意味を考える余裕はない!』と思うかもしれませんが、それでOKです。
音だけに集中してもやはりシャドーイングは難しいので、最初から全部をシャドーイングできないのが当たり前です。
『抜けている単語多すぎる。全然できない』と思わないようにしましょう。
STEP6.自分の音声を録音し、自己フィードバックする
STEP1から60分経ったら、自分のシャドーイング音声を録音しましょう。
LINEのボイスメッセージ機能など簡単に録音できるツールを活用すると良いです。
録音できたら自己フィードバック。
スクリプトを見ながら自分の音声を聞き、抜けている箇所や音の変化が間違っている箇所などがないかを確認します。
STEP7.改善箇所を中心にシャドーイング(意味も考える)
STEP7から2日目です。
STEP6で明確にした改善箇所を中心にシャドーイングをします。
学習のイメージは
- 改善箇所のみ発音練習
- 改善箇所を含む一文をオーバーラッピングorシャドーイング
- 改善箇所を含む一文と前後2,3文をシャドーイング
これを繰り返しおこないます。
また、これまで音のみで行ってきたプロソディシャドーイングをやめて、意味も考えながら行うコンテンツシャドーイングに切り替えましょう。
ある程度音のみに慣れてきた段階でシャドーイングのレベルを上げることで、マンネリ化をふせぎリスニング力もさらに向上します。
STEP8.STEP5-7を全ての文章が完璧にできるまで繰り返す
STEP7まで終わったら、今度はまたSTEP5に戻り全文を通しでシャドーイングしてください。
この時は余裕があれば意味も考えながら行いましょう。
そしてSTEP6で音声録音と自己フィードバック、STEP7で改善箇所を中心にシャドーイング…を全ての文章がスムーズにできるまで繰り返してください。
できたら、今度は別の音声でSTEP1ー8を行っていきます。
STEP1ー8までかなりボリュームがあり最初から心が折れそうですが、STEPに沿って継続できる方がリスニング力アップを達成します。
がんばりましょう。
シャドーイングにおすすめの教材
おすすめの教材を選ぶ基準は、前述したように
- テキストの英文の理解のしやすさ
- モデル音声のスピード
の2点です。
ただし、「モデル音声のスピード」はアプリやパソコン搭載のソフトで変えられるので、「テキストの英文の理解のしやすさ」がポイントになります。
具体的には、100語のうち分からない単語や文法が多くても2つまでの英文素材を選びましょう。
また、個人的には音の変化が随所にあるかも教材の重要な選定基準にしています。
というのも、日本人がリスニングできない場合、多くは音の変化を習得していないことに原因があるから。
その点を踏まえておすすめの教材を紹介していきます。
おすすめ教材:WEBでやりたい場合
紙のテキストではなくWEBの無料教材を使いたい!
という方は、以下の3つがおすすめ。
- VOA Learning English
- BBC Learning English
- TED TALKS
それぞれ詳しく解説していきます。
VOA Learning English
アメリカ合衆国政府が運営する国営放送「VOA:Voice of America」が、英語学習者のために作ったサイト。
レベルがBeginning〜Advancedまで細かく分かれていたり、実際の会話シチュエーションを想定した英語を学べるリアルさが学習意欲を掻きたてます。
日本語訳がない点は少し残念ですが、生の英語を学べるのでおすすめです。
>>公式サイト:VOA Learning English
BBC Learning English
イギリスのラジオ・テレビを一括運営する公共放送局のBBCが運営する英語学習サイト。
VOAのイギリス版です。
こちらも学習者のレベルに合わせてカリキュラムが細かく分かれており、初級者の日常会話から上級者ではニュースのレビューまでと幅広い分野で英語を学べます。
日本語訳がないのでVOAと同じく残念ですが、イギリス英語を学びたい方はぜひ活用しましょう。
>>公式サイト:BBC Learning English
TED TALKS
毎年大規模な世界的講演会「TED Conference」を運営する「TED」が運営するサイト。
各専門分野の著名人がスピーチをする動画が、カテゴリ別や人気別に表示されています。
パソコンからアクセスすると0.5〜2倍速まで速度が調整できたり、音声を聞きながらスクリプトの確認をすることができます。
スクリプトをある単語をクリックすると、音声がそこから始まるので繰り返し学習にも向いています。
>>公式サイト:TED TALKS
おすすめ教材:紙のテキストでやりたい場合
英語学習はやっぱり紙!
という方は、以下の2つがおすすめです。
- TOEIC 公式問題集
- 決定版 英語シャドーイング【改訂新版】
TOEIC 公式問題集
TOEIC公式問題集でシャドーイングする場合は、Part3,4の音声を使いましょう。
1音声あたりの時間が30秒〜60秒とちょうど良く、スクリプト(英文と日本語訳)とCDもついているのでやりやすいです。
ただ速度調整機能はないので、パソコンでやる方はMacであれば『QuickTime Player 7』、WIndowsであれば『windows media player』を使いましょう。
決定版 英語シャドーイング【改訂新版】
言語学者の門田修平氏が著者の教材。
タイトルに「シャドーイング」と書いてある通り、シャドーイングを効率的に行うための一冊です。
Stage1−3でレベル分けされており、Stage1では『温泉について』や『図書館で』などの日常会話をシーン別で学べます。
Stage2・3では先ほど紹介した『VOA』が出てきたり、オバマ前大統領のスピーチが教材になっていたりとビジネス色が強くなっていきます。