パート1って、簡単なようで満点がとれないんだよなぁ…
その悩みを解決します。
この記事でわかること
- パート1の概要や知っておくべきポイント
- レベル別の学習方法と教材(スコア表の分析を基に解説)
パート1は写真描写問題。
一見するとそこまで難しくないように感じますが、満点をとりにくいパートでもあります。
そこでこの記事では、パート1を解くポイントやレベル別の学習方法、そしておすすめの教材をTOEICアビメをもとに解説していきます。
「アビメ」とは、TOEICテストを受けるともらえるスコア表の面面下部に記載のある分析グラフのこと
参考:『TOEICの弱点を分析しよう!アビメの見方とレベル別の対策(リスニング編)』
Part1の概要
Part1は、問題用紙に印刷されている写真についてA〜Dまでの4つの音声を聞き最も適している選択肢を選びます。
問題形式 | 写真描写 |
問題数 | 6問 |
選択肢 | 4つ |
解答時間/1問 | 約5秒 |
解答の仕方 | 印刷されている写真を見ながらA〜Dまでの4つの選択肢を聞き、写真を適切に描写しているものを選ぶ |
特徴 | 人物や物、風景の描写。人物は1人〜複数人まで様々。物や風景もビジネスシーンから日常風景まで色々あり |
問題の種類は大きく分けて4つ。
大きく人物描写と風景描写にわかれ、人物描写は1人/2人/3人以上に分かれています。
Part1を対策する|おさえたいポイント
パート1で満点をとるには、絶対におさえておきたいポイントが4つあります。
- 頻出する「時制と態」のパターン
- 写真を直接的に描写しない「抽象表現」
- 発音が似ている単語
- 視点ずらしによるひっかけ
それぞれ詳しくみていきましょう。
頻出する「時制と態」のパターンと例文を覚える
Part1で流れる選択肢の音声には「人が何かをしている」能動態と「物が何かをされている」受動態に大きく分かれます。
音声パターンは大きく2つ
- 人が何かをしている=能動態
- 物が何かをされている=受動態
それぞれさらに細かく
- 能動態+現在形
- 能動態+現在進行形
- 受動態+現在形
- 受動態+現在進行形
- 受動態+現在完了形
このような5つの頻出パターンに分けることができます。
それぞれの組み合わせごとに、例文を交えて覚えておきましょう。
能動態+現在形(/進行形)
- 能動態+現在形
They are outside.
(彼らは外にいる)
- 能動態+現在進行形
A woman is smiling.
(女性が笑っている)
受動態+現在形(/進行形/完了形)
- 受動態+現在形
A car is parked on the street.
(車が通りに駐車されている)
- 受動態+現在進行形
A house is being built.
(家が建てられている最中です)
- 受動態+現在完了形
Some trees have been planted.
(いくつかの木が植えられている)
5パターンも例文を覚えるの、大変だな。
と思うかもしれませんが、パート1はこの5パターンを例文つきで覚えるだけで難易度のハードルがかなり下がります。
頭のなかで情景をイメージしながら例文を覚えましょう。
写真を直接的に描写しない「抽象表現」とは
抽象表現はTOEICアビメのL1に該当する項目です。
ABILITIES MEASURED | 対応パート (番号) | 詳細 |
---|---|---|
短い会話、アナウンス、ナレーションなどの中で明確に述べられている情報をもとに要点、目的、基本的な文脈を推測できる | Part1,2 (L1) | 描写や質問の意味が理解できている。 Part2ではYes/No疑問文や報告・連絡などのステートメントが該当 |
大きく「人に関する抽象表現」と「物に関する抽象表現」に分かれます。
抽象表現のパターン
- 人に関する抽象表現
- 物に関する抽象表現
人に関する抽象表現
例えば以下の写真を描写する問題がでてきたとします。
選択肢の音声
A. He is reading a newspaper.
B. There is a shelf on the wall.
C. He is spending time by himself.
D. A computer is powered off.
Dまで聞いても、答えがCだとはとっさに分からず、AやDと一瞬迷ってしまうかもしれません。
写真に映る彼はパソコンを使っていますが、正解のCはそのことに直接触れず『ひとりで時間を使っている』と抽象的な表現になっていますよね。
この具体→抽象への変換がにがて or あらかじめ予測できないと、パート1で苦戦します。
物に関する抽象表現
抽象表現は人物が映る写真だけではなく、物だけが映る写真でも出てきます。
例えば下の写真。
『服がかけられている』『バッグが棚に並べられている』など具体的な描写を思い浮かべるかもしれません。
たしかに具体的な洋服やバッグなど細部に目を通しておくクセをつけておくのは大事です。
ただし、それだけではダメ。
しかしPart1では、『商品が棚に展示されている(Items are displayed on the shelves)』のように具体的な品物をまとめて『商品』と表現されることがあります。
このような抽象表現は覚えておいて損はありません。
Part1頻出の抽象表現をまとめたので覚えておきましょう。
※単語をクリックすると別タブが開き、発音を確認できます↓
item(品物) | merchandise(商品) |
supply(必需品) | tool(道具) |
equipment(装置) | appliance(器具) |
device(機器) | machine(機械) |
instrument(楽器) | traffic(交通) |
material(資料) | vehicle(車輌) |
発音が似ている単語はペアで覚える
抽象表現と同じように苦戦する人が多いシーンの1つが、発音が似ている単語が出てきたとき。
「R」と「L」、「S」と「TH」など日本人が苦手な発音から、知っていないと絶対に聞きとれない音の変化が含まれる単語まであります。
※単語をクリックすると別タブが開き、発音を確認できます↓
back(後ろに) | pack(荷造りする) |
bath(浴槽) | bus(バス) |
car(車) | cart(カート) |
coffee(コーヒー) | copy(コピー) |
glass(コップ) | grass(芝生) |
hold(抱く) | fold(折る) |
tea(茶) | tree(木) |
turn(回す) | tune(調整する) |
walk(歩く) | work(働く) |
watch(見る) | wash(洗う) |
似ている単語はそれぞれペアで発音を必ず確認しましょう。
認識している発音と実際の発音が違った、ということは多々あります。
人物がひとりの場合は「視点ずらし」に注意
下のような写真がでてきたときは注意しましょう。
『子供が写真を撮っている』『赤い花が植えられている』のような真っ先に目に入る描写を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には『植物がいくつか植えられている』のように少し視点をずらした選択肢が正解になるケースがあります。
とくに写真の中に人物がひとりしかいない場合、その人物にどうしても目がいきがちですよね。
Part1ではこのような「視点ずらし」と呼ばれるひっかけが出されることもあるので、写真の細かい箇所まで目を通すクセをつけておくと、とっさに対応しやすいです。
以上が、パート1のおさえておきたいポイントです。
Part1を対策する|おすすめの教材と勉強方法
ポイントをおさえられたので、レベル別のおすすめ教材と学習方法を紹介します。
TOEICスコア表のアビメをもとに初級〜中上級までレベルを分けているので、TOEIC公式テストを受けたことがある人は自分のアビメを手元においてこの先をお読みください。
STEP1:Part1の音声をディクテーションする(最大3回まで)
まずはPart1の音声をディクテーションします。
1題ずつ行っていきましょう。
パート1のディクテーション のやり方
- Aの音声を最大3回繰り返し再生して書き取る
- Aと同様にB,C,Dも最大3回繰り返し再生して書き取る
- 写真を見て、選択肢を選んで解答する
- 選んだ選択肢が合っているか確認する
ディクテーションの効果について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください。
参考:ディクテーションのやり方・注意点・おすすめ教材|組み合わせて行いたい学習も詳しく解説
STEP2:英文スクリプトを見て確認する
答え合わせまで一通り終わったら、英文スクリプトを見て自分が書き取った英文に間違いがないか確認しましょう。
書き取りができなかった箇所は赤ペンや黄色マーカーなどの目立つ色で必ずチェックをし、視覚的に間違えた箇所がすぐに分かるようにします。
こうすることで次のSTEP3につなげやすく、上達していくにつれてチェック部分が改善されていくのでモチベーションも上がります
また合わせて、書き取れなかったのがどのような英文なのかも確認しましょう。すると
- 単語をそもそも知らなかった
- 単語は知っていたが発音と一致しなかった
- 音の変化(連結/消失/弱形/フラップなど)が分からなかった
の3つに聞き取れない原因を分けることができます。
単語を知らない場合は単語帳で語彙力を強化、単語は知っていたけど発音と一致しなかった場合は発音トレーニング。
そして音の変化が分からない場合は必ず音の変化を習得しましょう。
STEP3:初級者(アビメ平均55未満)の場合
初級者の方はオーバーラッピングを行いましょう。
オーバーラッピングをして、まずはPart1の音声スピードに慣れましょう。
また、スクリプトを見ながら音声と同時に発音することで単語と発音を一致させ、聞き取れる単語の数を増やしていきます。
参考:オーバーラッピングの効果とは?注意点もふまえた正しいやり方とおすすめの教材まで|英語コーチが徹底解説
教材は『初心者特急 パート1・2』
写真を見ながら正解を選ぶPart1の問題形式に慣れるにはもってこいの一冊です。
STEP3:L3が低い中級者(アビメ平均55以上75未満)の場合
L3が低い中級者の方はリスニング力そのものをつける必要があります。
シャドーイング、それもプロソディシャドーイングを行いましょう。
プロソディシャドーイングをすることでいろいろな効果がありますが、Part1では【写真を見て音声を聞きながら考える】という一度に複数のタスクをこなすハードルを下げる効果があります。
なぜかというと、リスニングのプロセスには『音声知覚』と『意味理解』の2つがあり、プロソディシャドーイングは特に『音声知覚』を鍛えるのに効果的だから。
参考:シャドーイングの効果や知っておきたい注意点。正しいやり方とおすすめの教材も|英語コーチが徹底解説
教材は『究極のゼミ Part 2 & 1』がおすすめです。
問題ごとの丁寧な解説と、パターン別の細かい攻略法は非常に役に立ちます。
STEP3:L1が低い中級者(アビメ平均55以上75未満)の場合
L1が低い中級者の方は、抽象化問題で苦戦しています。
抽象化問題とは、写真に対する正解の選択肢が具体的ではないこと。
例えば、男性がひとりでパソコンを使っている写真に対する正解の選択肢が『He is spending time by himself.(彼はひとりで時間を使っている)』の場合は抽象化問題です。
対策は、コンテンツシャドーイング(意味を考えながら行うシャドーイング)とPart1に特化した語彙力の強化を行いましょう。
コンテンツシャドーイング
Part1の抽象化問題にムラなく対応するためには、消去法で解く考え方を捨てて、なるべく一文全てを聞き取れる状態までリスニング力を上げるのが理想です。
コンテンツシャドーイングの【聞きながら意味を考えつつ発音する】学習が、抽象化問題の【音声を聞きながらそれが写真に該当するのかどうか】という状況と似ておりマルチタスク力が養われます。
参考:シャドーイングの効果や知っておきたい注意点。正しいやり方とおすすめの教材も|英語コーチが徹底解説
教材は『出る問 難問240』をおすすめします。
間接応答問題を含む近年の難化傾向にうまくハマる対策本です。
Part1に特化した語彙力の強化
語彙力の強化には『金のフレーズ』がおすすめ。
単語帳全てではなく、supplementというページをやりましょう。
Part1頻出の言い回しをまとめており、語彙力アップに直結します。
STEP3:中上級者(アビメ平均75以上90未満)の場合
中上級者の方はコンテンツシャドーイングとリピーティングを組み合わせて行いましょう。
シャドーイングの後にリピーティングを行うことで問題パターンを頭に叩き込み、本番で瞬時に内容を理解することが目的です。
参考:シャドーイングの効果や知っておきたい注意点。正しいやり方とおすすめの教材も|英語コーチが徹底解説
参考:リピーティングの効果・注意点から正しいやり方とおすすめの教材まで|英語コーチが徹底解説
教材は『パート1・2特急 難化対策ドリル』がおすすめです。
基本的には難易度の高い問題しか収録されていません。
この教材をシャドーイング→リピーティングの順番で学習しましょう。